ミネラルバランス


 人体では40℃以下というきわめて低い温度で、すごい効率でさまざま代謝をしています。

 この代謝は、いろいろな「酵素」(補酵素も含む)のおかげです。この酵素がいわば「触媒」として働くことによって人体の精密化学工場が維持されているのです。

 酵素はおよそ1000種類ほどあると言われています。その中で比較的その働きが知られているのは数百種類だそうです。これらの酵素は、単独で「触媒」としての働きをするものもあれば、他の金属イオンと共同でなければうまく働けないのものあります。亜鉛がなければ働けないものを「亜鉛酵素」マグネシウムがなければ働けないものを「マグネシウム酵素」と呼びます。細胞のイオンポンプ作用などでエネルギー発生に係わるのが「マグネシウム酵素」、主に、細胞の分裂形成に関係するのが「亜鉛酵素」と言われています。そのほか活性酸素の掃除に働く酵素のは、マンガンやセレニウム、亜鉛、銅といった金属(ミネラル)が必要になってきます。

 肝心のミネラルバランスですが、細胞の外と中では、各ミネラルの量がほぼ一定に保たれています。この事を「ミネラル分布の恒常性」と言うようです。身体の水分は体重の約65%程度であると言われていますが、そのうち細胞外液血液や毛細血管と細胞間とのにある水分)は、約1/3程度、細胞内にある水分量はのこり2/3であると言われています。

 細胞の外と内側のミネラルのバランスは、一定に保ってはじめて正常に機能すると考えられます。逆に言えば、このバランス(もちろん絶対量も重要です)が損なわれるとき、そのバランス(や絶対量)の程度により高血圧や心不全、免疫力の低下、細胞自体の老化や壊死などが発生し、やがて様々な病気として確認できるようになる。と考えられています。

 主なミネラル(イオン)のバランスですが、その比率は、

 ナトリウム  内:1、 外14

 カルシウム  内:1、 外5

 カリウム   内:3、 外1

 マグネシウム 内19、 外1

 だいたいこのようになっているようです。

 この量関係を維持するのに、カルシウムとマグネシウムは最低でもカルシウム600mg(成人男性)、マグネシウム300mgは摂取しなさいと言われているということになると思います。

厚生省の所要量ではカルシウムだけしか言われていないため、マグネシウムは偶然に摂取できるのを期待している?ということになってしまいます。

 この比率を調整しているのが、いろいろなビタミンやホルモン、ホルモン様物質などであり、またイオンポンプとよばれる、各ミネラルのイオン(ミネラルが実際に働くには、電荷をもったイオンになっていなければならない)を中から外に運び出す働きなのです。ナトリウムとカルシウムは細胞の外の濃度が高いのが正常な状態ですから、細胞膜にあるそのミネラルのイオンチャネルが開くと労せず細胞内に入ること(細胞からみれば取り込む)ができますが、一度入ってしまったものを濃度の高いところえ押し上げるのが、イオンポンプ作用です。

 イオンポンプ作用とは、濃度の低い細胞内液から濃度の高い細胞外液へとナトリウムイオンやカルシウムイオンを運びあげる働きのことで、ポンプですから当然エネルギーを必要とします。このエネルギーも食品から摂取したブドウ糖を原料にして作られるATPに依存しています。ナトリウムやカリウムを運ぶイオンポンプに使われるATPの量は、人体で作られるATPの総量の1/4もの量が使われます。このことから判断してもイオンポンプのもつ重要性がわかります。このイオンポンプのエネルギーを得るには、ATPを「ATP分解酵素」によって分解しなければなりませんが、このATP分解酵素はマグネシウムと結びついてはじめて働くことができる「マグネシウム酵素」のひとつなのです。このため、いくらブドウ糖が十分にあり、ATPがたくさん作られても、マグネシウムがなければイオンポンプが働くことができないということになるのです。

 イオンポンプがうまく働かないと、本来細胞外に多く存在するはずのナトリウムやカルシウムが、細胞内に多くなってしまい、細胞への信号伝達がうまくいかなくなってしまいます。


  筋肉を繰り返し使っていたりする場合、マグネシウムが不足すると、カルシウムイオンがスムーズに細胞内から排出されず、それでも筋肉に緊張しなさい、という信号をおくりつづけると、古いカルシウムイオンがあるのに、新たにまたカルシウムイオンが入ってきます。こうなると新たな刺激を感じなくなるため、このままでは、細胞が疲れはて、最後には活動を停止してしまいます。そうなる前の応急処置として、細胞内の水分を多くして、とりあえずイオン濃度を低くするようになります。これが「細胞浮腫」状態、つまり細胞の水ぶとりという状態です。

 このようになった細胞に、適量のマグネシウムが供給されると、溜まっていたカルシウムイオンなどが排出され、それにつづき、水分も排出されます。細胞浮腫の人の場合、体重の約5〜6%ほども軽くなるそうですから水分の量も相当な量だと思います。



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