皮膚と老化

(この記事は、米国LPI社のヘルス・リサーチ・レビューという健康新情報紙を翻訳したものです。)


皮膚---体の中の最大の臓器

 ドクター・パグリーズは、生物学の科学修士号をフランクリン・アンド・マーシャル・カレッジで、医学博士号をペンシルバニア大学メディカル・スクールで取得しました。また、修士論文を書くための研究をオーク・リッジ・インスティテュート・オブ・ニュークリア・スタディーズで、博士論文を書くための生物物理学の研究をペンシルバニア大学で完成させました。

 さらに、ハーシー・メディカル・スクールで家庭医学についての講義を担当し、ペンシルバニア大学では、比較医学の指導を行ないました。博士は、生体内での酵素の活性を測定する方法と、皮膚内に保持されている水分の測定法に関して、特許も取得しています。また、ペンシルバニア臨床病理学学会、美容化学学会、全米皮膚科学会、生体工学と皮膚に関する学会、皮膚研究学会、皮膚薬理学会、光化学・光生物学会のメンバーでもあります。

 ドクター・パグリーズは、ドクター・ポール・スウェル賞、イタリア系アメリカ市民賞、Bナイ・ブリスからのアメリカニズム賞を受賞しており、さらに国際美容化学者同盟学会や美容化学学会ニューヨーク部会でプレゼンテーションされた一連の価値ある論文を書いた功績によって、高い尊敬を勝ち得ています。単に一分野の専門家というのではなく、植物由来化学物質、美容、医学、化学、研究ならびに皮膚生理学の諸分野での専門知識を合わせ持っているため、世界レベルで尊敬されています。博士はまた、特に皮膚の健康面から見た抗酸化剤、加齢、老化防止に関しての世界的な専門家でもあります。



本文:

 皮膚は、開かれた本のように、あなたの健康状態をそのまま示しています。青白く黄色みを帯びた皮膚は、病気にかかっている印です。皮膚が赤すぎる場合は、高血圧かもしれません。粉をふいたまだらの皮膚や荒れた肌は、皮膚の手入れがなされていないか酷使されていることを示しています。薄い皮膚はアルコール依存と関連していますし、灰色で張りのないたるんだ皮膚は、長期にわたって喫煙していることの証拠です。日焼けでいためつけられると、皮膚には小じわができ、黒ずみ、荒れて、角質がポツポツと赤く盛り上る角化症まで起こします。日光、暑さ、寒さによる肉体へのストレスは、ゆっくりと皮膚の構造をいためつけ、小じわやたるみができるようになります。精神的なストレスも、同じような結果を生みます。



皮膚の3つの基本層

 皮膚の外側の層である表皮は、活発に成長を続ける皮膚層で、我々を陽射しや寒さから守ったり水分を内部に保つ働きをする、丈夫な外皮細胞を形成します。この層はむけたりポロポロ落ちたりするようになっているので、”乾燥肌”と呼ばれる粉ふき状態が生じることがよくあります。この外皮層の細胞は、常に表皮のいちばん下から生まれてくる新しい細胞に置き換えられていきます。表皮には血管がないので、この下にある層である真皮の中を走っている血管から体液がにじみ出してくる”拡散”という仕組みによって、栄養が供給されています。

 真皮は、皮膚を支える構造体です。この中に毛細血管と呼ばれる微細な血管が走り、何千という神経の末端があって、熱、冷たさ、圧力、痛み、快感、痒みを感じ取ります。この支持構造体には、3種の蛋白質、すなわちコラーゲン、エラスチン、基質が含まれています。コラーゲンは丈夫で、よほど極端な状況下でない限り皮膚がひび割れたりしないように守っています。エラスチンはもっと繊細な蛋白質で、伸ばしても元のかたちに戻る弾力を皮膚に与えています。基質は、ゼラチンのようなゼリー状の物質で、この中に含まれているエラスチンやコラーゲンが刺激に反応するための媒質として機能しています。

 下皮は、真皮の下にある脂肪の多い層で、体温を保持し、エネルギーを蓄え、クッションとして機能する脂肪細胞を含んでいます。下皮には、太い血管や太い神経幹もいくつか走っています。ちょうど、都市の地下に、都市を維持する上で必要となる配管やケーブルが走っている様子に似ています。



皮膚生理学

 皮膚は、常に変化している、絶えず成長を続ける活発な臓器です。体によって良いものを内側に保ち、悪いものを外側に保ちます。また体温を調節します。体温が華氏98.6度を超えると、発汗が起こり、汗は蒸発して皮膚や血液から熱を奪い、こうして冷えた皮膚や血液が、体の熱を冷ますのです。体が排除しようとする物質はほとんどすべて、なんらかのかたちで、皮膚の中に捨てられます。その後、化学変化によって毒性の少ないかたちに変えられたのち汗として排出されたり、活性を失った皮膚と一緒にポロポロむけたり、体内に再吸収されて肝臓で解毒されたりします。

 思うに、皮膚のもっとも重要な機能は、体の外表面に保護バリアを形成することでしょう。このバリアは角質といって、蛋白質と、脂肪や蝋に似た皮脂という物質でできています。このバリアは、体内から水分が失われる度合いや対外から水分が染み込む度合いをコントロールしています。角質の細胞や成分は表皮の下のほうの層で生産される細胞をして作られています。これらの成分が形成されるためには、充分な栄養と、有害な環境ストレスからの保護が必要です。



老化と皮膚

 これだけの時間を経たら”老年期”なのだと言えるような、何にでもあてはまる絶対的な老化時間というものはありません。たとえば、星は、誕生してから20億年もの”年月を経て”も…若い星であり、犬は、16歳で老犬です。人間なら、16歳であれば、青年ですね。科学者による老化の定義は、機能の劣化ということです。つまり、以前ほどうまく機能しなくなった、という意味です。老化は避けることができません!

 老化とは、慢性的な炎症が起きて遺伝子の正常なコントロール能力が変質していき、それにつれて持てる機能を段々に失っていくという、連続的なプロセスのことなのです。体というのはものすごい修復能力を持っていますが、この修復処理は、細胞の核の中にあるDNAの遺伝子によってコントロールされています。ところが年月を経るにつれて、このコントロール能力が変質したり、本来の働きとは違うことをするようになり、細胞分裂の際にすべての情報を正しくコピーしていくことができなくなってしまうのです。



老化とは、活性酸素にいためつけられたDNAが起こす慢性的な炎症のこと

 我々が呼吸する酸素のおよそ1%が、危険な活性酸素に変換されます。DNAは元々みごとな自己修復能力を持ってはいますが、それでもある程度は受けたダメージが残ってしまいます。何年も経つうちに、DNAが受けたダメージは積み重なり、どんどん機能を失っていきます。ただし、DNAが活性酸素から受けるダメージは、必ずしも毎日目で見てわかるほどの度合いで起きているわけではありません。



外見

 皮膚を見て年をとったなあと思わされるのは、まず、たるみです。次に小じわができ、その後大きなしわができます。しわの下の皮膚組織も変化していくので、しわはどんどん深くなります。このような変化に続いて、皮膚の色とテクスチャが変わっていきます。色がまだらになって、灰色や黄色味を帯び、赤い斑点ができたり、静脈が浮き出てきたりします。茶色のしみが手や顔にでき、皮膚が薄くなります。



構造体や機能の変化

 構造体そのものの変化は、皮膚の表層の下にあるコラーゲンやエラスチンの変化によって生じ、のちには、表層そのものが変化するので、これにも影響されます。真皮の中のコラーゲンが減少すると、たるみができます。次に伸縮性がなくなり、ますま

すたるんで弾力性も失われます。血液の循環が悪くなり、皮膚を構成する細胞の数が減ります。こうして薄くなった皮膚は透けるようになり、太い静脈まで表から見えるようになります。新しい皮膚の成長をうながす繊維芽細胞の数も減ります。そして、皮膚はストレスへの対応力を失っていきます。免疫反応も減り、熱を放散する能力も失われます。暑さ寒さを感じる能力が鈍くなります。慢性的なダメージを修復する能力が減退し、細胞のターンオーバーの速度が落ち、傷も直りにくくなります。



環境

 皮膚が環境から受ける影響の中でもっとも危険なものは日光です。日光にさらさないようにすれば、皮膚に小じわができたり色が変わったり、赤くみっともないポツポツができて外見が悪くなるといったことも防げます。陽射しにあたりすぎると、皮膚の免疫システムがダメージを受け、コラーゲンとエラスチンの生産能力が損なわれ、正常な細胞のいくつかが死んでしまいます。同時に、死ななかった細胞の中でも、DNAの修復システムが損なわれるのです。暑さ寒さも皮膚にダメージを与え、能力を減少させます。また環境内にはたくさんの化学物質があり、それが皮膚と反応して活性酸素を生み、この活性酸素が今度は皮膚組織内の成分と反応してしまうのです。



良質の栄養を摂れば、外見の老化を遅らせることができる

 ほとんどの人は、“成功する”につれて食べる量が増えてきます。同時に、慢性病にかかる度合いも増えてきます。肥満、関節炎、心臓病、糖尿病、高血圧は、どれも、ある意味で、食べすぎや間違った食べ方と関係があります。第一の問題は、カロリーの摂り過ぎです。食事のカロリーを、少なくとも25%減らしてください。次に、新鮮な果物や野菜、特に緑の葉野菜や黄色いタイプには、ビタミンAやカロチノイドが豊富に含まれているので、これらを追加してください。それから、オーツや全粒小麦や玄米、ライ麦など、全粒穀物を食べるようにし、精白小麦粉が使われている製品は控えること。何より、マーガリンや水素添加されたショートニング製品など、人工的に構造を変化させた脂肪は摂らないようにしてください。それともうひとつ、くれぐれも、サプリメントを摂るのを忘れないようにしてくださいね。



メインインデックスへ  「健康が一番!」トップへ




 美容と健康のための“活性酸素対策”には、これがお勧め!