コレステロールについて

 (裏を返せば活性酸素対策の重要性の再認識でもあります....。)

 コレステロールについて-2(HDLコレステロールの重要性)もご覧ください。


1・コレステロール

2・高コレステロール診断・治療基準 (New!2002.07.19)

3・なぜ、コレステロールが問題になるのでしょうか?

4・コレステロール:善玉と悪玉

5・太りすぎ児童は心臓病のリスクが高い

6・心筋梗塞の犯人はコレステロールではない

7・血管壁の異常に付け込むLDL

8・トランス型脂肪

9・こんなときどうすれば良いか?


1・コレステロール

 多くの人は、コレステロールが必要量の1/5程度しか摂取できないため、体内で残りの必要分を合成しなければならく、このときの問題はコレステロールの合成のときに、「活性酸素」ができてしまうということです。

 コレステロールという脂質は生体膜に含まれそれを安定させたり、性ホルモン、副腎皮質ホルモンなどのステロイドホルモンの原料、ビタミンDの原料にもなります。血管の内側に張り付いて、血流のエロージョンから血管を保護していたりします。多くのコレステロールの問題は、コレステロールが多いのが原因でなく、それをコントロールする機能の低下によるものであるようです。この機能が低下すると必要以上に血管に付着したり、それが酸化されたり、白血球がコレステロールを食べ散らかして死骸が固着したりで、動脈硬化の原因となったりします。

 コレステロールは、「体に悪いもの」、という印象が以前にはあったのですが、最近の栄養学の進展のおかげで、その実体が分かってきたようです。

 まず、コレステロールとは、脂質の一種の遊離脂肪酸で、細胞膜、胆汁酸、各種ホルモン、ビタミンD前駆体の原料で、健康な体を維持するには無くてはならないものです。食事からも摂取されますが、それより遙かに多い量が肝臓と小腸で合成されています。ご存じのようにHDLは善玉、LDLは悪玉という常識ができていますが、本来、善玉も悪玉もない、両方とも必要不可欠で健康の見方なのです。

 HDL、LDLとも体に必ず必要な重要な物質です。悪玉と言われるLDLは肝臓から体内で必要とする箇所にコレステロールを運ぶときの姿で、善玉と言われるHDLは各細胞から余ったコレステロールを再び肝臓に戻し、胆汁やホルモン、LDLとして再利用できるようにしている時の姿です。血管の中を流れているコレステロールは、LDLにはコレステロールが多く包まれ、HDLにはコレステロールと多くのレシチンが包まれているようです。このレシチンのおかげでHDLで運ばれたコレステロールのうち、余分な量は胆汁酸となることができ、排出されるようです。

 このように、コレステロール自身はリポタンパクに包まれたままでいれば、特に悪さをしでかすことはなく、必要とする細胞と肝臓間を移動しているだけのものです。

 コレステロールが胆汁酸へと変換されるためには、ビタミンCが不可欠です。さらに、コレステロールは胆汁酸となって小腸内へ分泌(排泄)されますが、食品から摂取した脂肪とミセルダンゴを作ります。小腸はミセルダンゴの形になった脂肪しか吸収しないため、コレステロールの再吸収と脂肪の吸収が起こることになります。

 ネバネバ成分である水溶性食物繊維には、コレステロールの排泄を促し脂肪の吸収を抑制する働きがあります。水溶性食物繊維はミセルダンゴとくっついて、一緒に排泄する働きがあるため、コレステロール値が高い場合や血中脂肪値が高い場合は、水溶性食物繊維を積極的に摂取することにより、余分なコレステロールは効率よく排泄されることになり、その結果、血中濃度が低下することになります。

 また、ナイアシン(ビタミンB3、ニコチン酸)も、大量に摂取した場合、LDL減少、HDL増加に働くようです。ここで大量というのは、2000mg〜3000mgという値です。だからと言って、これをだれでも実行しましょう、と言っているわけではありません。このような大量摂取は知識のある医師の指導のもと、慎重に行うべきものです。

 また、コレステロールを多く含む食物の摂取とコレステロールの量とには相関関係はないとのことです。肝臓や小腸が、食品から摂取する量より遙かに多くのコレステロールを生産しているということからしても、容易に理解できる点です。

 体に必要なコレステロールの内で食品から摂取できるのは、およそ通常平均で1/5ほどでしかなく、残りの不足分は肝臓で合成されているのが現状のようです。コレステロールを多く摂取した場合は、肝臓などで生産されるコレステロールは、自動的に少なくなるのです。

2・高コレステロール診断・治療基準

 (1996年末にまとめられた指針)

(診断基準)
高コレステロール血症
総コレステロール(mg/dl) LDLコレステロール(mg/dl)
適正域 200未満 120未満
境界域 200-219 120-139
高コレステロール血症 220以上 140以上
(高TG血症,低HDL血症は、疫学的データ不足のため治療基準は定めらていない。1999,1現在)
高トリグリセライト血症 低HDLコレステロール血症
トリグリセライド(中性脂肪)(mg/dl) HDLコレステロール(mg/dl)
150以上 40未満

(高コレステロール血症の治療基準(予防、治療管理基準))
生活指導、食事療法 適用基準 薬物療法適用基準 治療目標値
冠動脈疾患、他の危険因子がともに無い場合 LDL140mg/dl以上(TC220mg/dl以上) LDL160mg/dl以上(TC240mg/dl以上) LDL140mg/dl未満(TC220mg/dl未満)
冠動脈疾患はなく、他の危険因子がある場合 LDL120mg/dl以上(TC200mg/dl以上) LDL140mg/dl以上(TC220mg/dl以上) LDL120mg/dl未満(TC200mg/dl未満)
冠動脈疾患がある場合 LDL100mg/dl以上(TC180mg/dl以上) LDL120mg/dl以上(TC200mg/dl以上) LDL100mg/dl未満(TC180mg/dl未満)

  ・冠動脈疾患:虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)

  ・他の危険因子:高コレステロール血症以外の動脈硬化促進因子であり、

         加齢(男・45才以上、女・閉経後)、冠動脈疾患の家族歴、喫煙習慣、

         高血圧、肥満、耐糖能異常(糖尿病、境界型糖尿病)のどれか一つ以上。

(LDLコレステロールの計算式)
LDL値 = TC値-HDL値-0.2×TG値

  TC値=総コレステロール値、TG値=トリグリセライド(中性脂肪)値    

  (空腹時の値とし、TG値が400mg以下の場合のみ適用)


*コレステロール値については、上記のような値が示されていますが、最近の長寿者(東京都小金井市など)を疫学的に調査した研究では、コレステロール値は210〜239mg/dlが長寿の数値であるようです。一日1個のたまごや、適切な肉料理は健康の身方と言えると思います。
 コレステロール値がこれより高いと心筋梗塞や狭心症が増える傾向があります。
 反対に、これより低い場合は、脳卒中やガン、肺炎といた病気が増える傾向にあるようです。
 コレステロールは人体のさまざまな材料として使われ、本来必要不可欠のものです。
 血管壁にキズが付いていないかぎり、数値がある程度高くても動脈硬化などは心配ないと思います。
 血管壁にキズがつくのは、やはり活性酸素が関係していると思います。

 今後、近いうちに上記の診断基準の見直しがあるかもしれないと思います。
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という事でしたが、2002年7月19日、日本動脈硬化学会で新しいガイドラインが発表されました。


 2002年7月19日に日本動脈硬化学会で発表された、動脈硬化を治療する基準となる新しいガイドライン。

高脂血症診断基準(血清脂質値:空腹時採血)(2002.07.19)
 高コレステロール血症 総コレステロール値 220 mg/dl以上
 高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール値 140 mg/dl以上
 低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール値 40 mg/dl未満
 高トリグリセリド血症 トリグリセリド(中性脂肪)値 150 mg/dl以上


動脈硬化治療基準(コレステロール値管理目標値)(2002.07.19)

分類
心筋梗塞など 他の危険因子の数 総コレステロール LDL
コレステロール
HDL
コレステロール
トリグリセリド
(中性脂肪)

なし 0 240 mg/dl未満 160 mg/dl未満 40 mg/dl以上

150 mg/dl未満

B1
なし 1 220 mg/dl未満 140 mg/dl未満

B2
なし 2 220 mg/dl未満 140 mg/dl未満

B3

なし

3

200 mg/dl未満
120 mg/dl未満

B4

なし

4 以上

200 mg/dl未満
120 mg/dl未満

あり

--

180 mg/dl未満
100 mg/dl未満

 主要危険因子
  ・年齢(男性45歳以上、女性55歳以上)
  ・高血圧、・糖尿病、・喫煙、・冠動脈疾患の家族歴
  ・HDLコレステロール値が40mg/dl未満

 原則としてLDLコレステロール値で評価し、中性脂肪値は参考値とする。
 
脂質管理は、まずライフスタイルの改善から始める。
 
脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併はB4 扱いとする。
 
糖尿病があれば他に危険因子がなくともB3 扱いとする。
 
家族性高コレステロール血症は別に考慮する。

今回の改訂の特長は、

 治療手段には、薬物療法適用基準は適用せず、ライフスタイルの改善によることを優先させた。
 高コレステロール血症の診断基準は今までと同様であるが、適正値は設定してない。
 個々の危険因子に応じてリスクの重みを付け、細かな管理を目指し、リスクを減らすことを目標としている。
 マルチプルスクファクター症候群の重要性を強調した。
  (高血糖、高脂血症、高血圧などの動脈硬化の危険因子は、一度に同じ人に発病することが多く、それらが互いに悪影響を及ぼし合って加速度的に動脈硬化を進行させる。このことをマルチプルリスクファクター症候群と呼ぶ。)

 以上のようになっています

 「健康が一番!」では、もっと具体的な検査をお勧めします。
 それは、
スモールデンスLDLの検査です。
 これは小型で比重の大きいコレステロールで、心筋梗塞になる率が3倍も大きいようです。

 この検査は“リポフォー”という測定キットにより、リポタンパク分画精密測定を行います。
 HDL、LDLなどの各種リポたんぱく粒子の分布図から、特定の計算式によりスモールデンスLDLか見ます。

 この検査は保険が適用され1200円の3割負担でOKです。
 高脂血症の専門医へご相談ください。


3・なぜ、コレステロールが問題になるのでしょうか?

 この理由の一つは、リポタンパクに大切に包まれたコレステロールですが、血液中で活性酸素に出会うと、リポタンパクは酸化され破れてしまい、油溶性のコレステロール自身が血管中にばらまかれてしまうことになります。ばらまかれたコレステロールはさらに酸化され過酸化脂質となってしまいます。過酸化脂質はほかの脂肪酸を酸化させたり、活性酸素をまき散らすため、ガンや老化の原因となります。これを掃除すべくマクロファージが掃除にやってくるのですが、散乱しているコレステロール数が多いと、動員されたマクロファージだけでは足りず、助っ人して、血管壁にある平滑筋細胞が働きだします。

 コレステロールを取り込んだマクロファージや平滑筋細胞は泡沫細胞に変化して死んでしまいます。これが血管壁にへばりつき、アテローム(粥状隆起)ができてしまいます。アテロームが血管を狭めれば、高血圧の原因となり、また、血管中を流れていくと、網細血管につまり、脳梗塞の原因となります。

 ですから、コレステロール値が高いという時には、まず活性酸素対策が最重要課題で、また余分なコレステロールが効率よく排出されるようにレシチンや食物繊維、ビタミンCを多く摂取しなければならない、ということになります。通常、老廃物は腎臓で処理され、尿から排出されますが、不要となったコレステロールは油溶性のため、腎臓では処理されず、胆汁に混ぜて排出されます。せっかく排出されても、食物繊維がなければ腸で再吸収されてしまいます。コレステロールを胆汁酸に変換するには、ビタミンCがなくてはなりません。

 さらに、適度な運動をして新陳代謝を高めて作られたコレステロールの使われる量を増やしてやる必要もあります。せっかく作られてもあまり利用されず捨てられる量が多いと、一時的に蓄えられる胆嚢で結石の原因ともなります。コレステロール降下剤が処方されるときも胆嚢にたまる量が多くなるため、胆石の心配がでてくるということです。さらに、コレステロール合成に働く酵素を阻害する薬剤が投与されるケースでは、細胞膜の原料不足を招き体中の細胞膜が弱くなりガン化しやすくなるという危険性もはらんでいるそうです。


4・コレステロール:善玉と悪玉

 コレステロールは、丈夫な細胞壁や各種ホルモンを作る上で、欠かせない成分です。体は、毎日、およそ1,000mgのコレステロールを生産しています。ただし、コレステロールが多すぎると、動脈の内壁上のあちこちに脂肪質の固まり(アテローム)が付着し、動脈内を狭めてしまいます。これが、atherosclerosis(アテローム性動脈硬化症)として知られている病態です。血管内壁に脂肪が付着すると、心臓などの臓器へ送られる血の流れ道を閉塞し、場合によっては完全にブロックしてしまいます。この脂肪性動脈硬化症が心臓血管系で起きた場合(いわゆる冠動脈・冠静脈の病です)、胸が痛くなり、心臓麻痺が起きてしまうのです。しかしながら、コレステロールが血液中を運ばれる仕組みとの関係によって、コレステロールは、善玉と悪玉とにわかれます。

 有害なタイプのコレステロールは、低密度リポ蛋白(LDL)群として、知られています。リポ蛋白とは、脂肪(リポ)と蛋白質が組み合わさったものです。LDL群は、皆さんの血管の中を流れている血液の中にある、もっともありふれたタイプのコレステロールで、この手のリポ蛋白が増えすぎると血管壁に付着して固まりを作るので、悪玉コレステロールと呼ばれています。一方、高密度リポ蛋白(HDL)群は、その割合が多いほど心臓病のリスクが減るので、善玉コレステロールと呼ばれています。HD L群は、血管壁に付着したLDL群をほぐして剥がれやすくし、動脈内からコレステロールを運び出すのです。

(テキサス大学ヒューストン校医学部、DPALM MEDIC 1997年7月号より)


5・太りすぎ児童は心臓病のリスクが高い

 体重が多すぎる子どもたちは、高血圧や高コレステロール---おとなになってから心臓血管系の病気のリスクを増やす要素---にみまわれている率が高い、ということが、”アメリカン・ジャーナル・オブ・クリニカル・ニュートリション”4月号に掲載されたある研究によって、指摘されました。

 「体重超過児童は、同じ年齢の体重が少ない子どもに比べて、明らかに、血圧が高く、全血液中のコレステロールの量が多く、中でも低密度リポ蛋白(LDL)群、つまりいわゆる悪玉コレステロールの量が多く、高密度リポ蛋白(HDL)群、つまり善玉コレステロールの量が少ないのです」と、同研究論文の代表執筆者であり、マサチュウセッツ州ボストンにあるタフツ大学栄養医学学部の医学教授、ジョアンナ・T・ドワイヤー博士は、述べています。

 ”児童並びに青年を対象とした心臓血管系の健康のための試験 [CATCH]”を実施した、ドワイヤーと同僚たちは、カリフォルニア、ルイジアナ、ミネソタ、テキサスの 96の公立小学校の3年生の児童、5,106人を調べました。

 研究者たちは、生徒の体格指数(BMI)---体重を身長の2乗で割ったもの---が同じ年齢の85%の子どものBMIより大きい場合を体重超過児と見做すことにしました。そして血圧を測り、血液中のコレステロールを測定するために血液サンプルを採取しました。

 すると、3年生では、男子の28%、女子の30%が、体重超過でした。5年生になると、女子の体重超過児率が同じであったのに比べ、男子の体重超過児率は、34%に増えていました。

 そして、BMIが増加するにつれて---つまり、身長と比べた体重の割合が増えるにつれて---子どもたちの血圧も増加していました。男子、並びにアフリカ系アメリカ人の生徒のほうが、BMI増加のリスクが高いということもわかりました。黒人の38%、白人の25%の子どもが、体重超過児と見做されたのです。

 「子どもの場合は特に、早期介入して、体重超過や肥満を防いだり、BMIが高いとわかった場合には対処法の指導をすることが必要です」と、ドワイヤーは語りました。


6・心筋梗塞の犯人はコレステロールではない

 心筋梗塞や動脈硬化は、血管壁にこびりついた脂質で、血液が流れにくくなることから起こる病気です。今はガンに首位を奪われたこの病気は、以前まで死亡原因の第一位にどっかりと座っていました。そのため、病気の原因と考えられるコレステロールをなるべく採らないよう、肉や卵を控え、魚や野菜を食べることが健康への第一歩と信じられてきたわけです。しかし、最近ではコレステロールの研究が進み、この神話が真っ赤な嘘であることがわかってきました。

 20世紀はじめに、ロシアのアニチコフがウサギを使ってコレステロールの実験を行いました。コレステロールがたっぷり入った食事を続 けたウサギの動脈には、コブのようにせり出したアテローム(脂肪の沈着、粥状隆起)が見られ、そこからはコレステロールの結晶がみつかりました。

 そのため、コレステロールを過剰に取りすぎると、心筋梗塞や動脈硬化の原因になると結論づけられ、多くの人が今までそのコレステロール神話を信じ続けてきたわけです。

 しかし、犬で同様の実験を行った場合、血管壁に傷をつけない限り、アテロームはできません。コレステロールが最も多く含まれている卵を、人が一日に10個食べ続けるとどうなるかという実験を、国立栄養研究所で行った場合も同様にコレステロール値は上昇せず、アテロームはできませんでした。つまり、アニチコフの実験は、草食動物のウサギを使った結果で、肉を食べる人間には当てはまらない実験だったわけです。

 人間のばあい、牛肉や卵をたくさん摂取しても、余分なコレステロールは体内から排出される仕組みになっていますから、本来ならば、コレステロールが血管壁にたまりアテロームを作ることは無いのです。

 卵は良質なタンパク源であり、またレシチンや貴重な含硫アミノ酸が含まれています。摂取しないと逆に体に悪いのです。レシチン(ホスファジルコリン)はHDLの中にたくさん含まれコレステロールを肝臓まで運こび、さらに胆汁酸として排泄するといった働きがあります。


7・血管壁の異常に付け込むLDL

 コレステロールの過剰な摂取が、アテロームを創り出す直接の原因ではないことが、実験で証明されています。ただ、それには例外があり、血管壁に傷などの問題がない場合だけなのです。

 血圧や血糖値が高い、運動不足、喫煙、ストレスなどの理由で、血管壁に傷が付いたり異常が起きたとき、からだはそれを治そうとします。そのとき、コレステロールの比率が高い低密度リポタンパク(別名LDL、俗に悪玉コレステロールといわれる)が血管壁に入り込み、過酸化脂質となってほかの脂質、特に植物油や魚油の働きを邪魔して、仲間に引き込むわけです。それを阻止しようとする平滑筋細胞とマクロファージが過酸化LDLを取り込み、泡沫細胞に変化して死んでしまいます。それが、血管壁にこびりついたアテロームの正体だったのです。

 植物油でできたマーガリンをネズミに与え続けたら、最初は毛並みにつやが出たり、尾の短いネズミが生まれなくなりました。これは、植物油のリノール酸のためで、当時は体に良いともてはやされたわけです。しかし、長いスパンで実験を続けると、ガンや腎臓からの出血によって多くのネズミが死んでしまうという結果が出ました。それは、からだに良いといわれていたリノール酸が、実は体内で過酸化脂質に変化していたためです。過酸化脂質をつくらないうようにするには、ビタミンCなどの抗酸化栄養素として期待できるものを多く摂取することが考えられます。

 この実験からもわかるように、過酸化脂質に変わりやすい植物油や魚油を多く摂取すると、LDLによって血管壁にできるアテロームのコブは大きくなり、心筋梗塞や動脈硬化を招くわけです。

 反対に、動物性油は、オレイン酸など過酸化脂質に変わりにくい油を含み、植物性油よりも多くのエネルギーを体に与えてくれます。今まで信じられてきた、牛肉や豚肉、バターはからだに悪く、大豆やサラダ油なら安心という説は、まったくの間違いだったのです。


8トランス型脂肪化学合成油を参照

 トランス型脂肪は,細胞膜において膜の保護の構造と機能を弱める。つまり、細胞の薄膜を出入りするミネラルや他の栄養素の正常な流れが変更され,細胞が弱ってしまうことになるため、人体は免疫機能が弱り抵抗力低下により,病気の危険性が増加することになるといったことも起こるようです。

 また、トランス型脂肪は,コレステロールを排除する過程で、体の標準的な機能を麻痺させることがあるようです。肝臓は通常,胆汁に超過したコレステロールを入れ,それを胆嚢に送り、その後小腸に分泌されます。トランス型脂肪は肝臓におけるコレステロールの標準的な変換を塞ぎ,血液中のコレステロール濃度の増加を招くようになります。さらに,アポリポ蛋白Aという心臓病の要因の血液中濃度を増加させることもあるようです。

 さらに,低密度リポ蛋白質(LDL)の量の増加と高密度リポ蛋白の量の低下を招き,ます。LDLは悪玉コレステロールと言われ、動脈硬化の原因の一つであると言われます。HDLは善玉コレステロールと言われ、心臓のシステムをLDLから守るのを助ける働きがあります。



9・こんなときどうすれば良いか?


■■LDLが多いときは、■■

食物繊維(水溶性のぬるぬる・ネバネバ成分)、ビタミンC抗酸化栄養素を摂取する。

 (活性酸素についてはこちらをご参照下さい。)



■食物繊維の摂取

 ・りんごや柑橘類の皮に含まれるペクチン質

 ・こんにゃくマンナン

 ・寒天、アルギン酸(海藻のぬるぬる成分)

 ・特に、グレープフルーツのペクチンという繊維質はコレステロール値を下げる働きが顕著な食材です。
 (このサプリメントにはこの製品があります。)

 ・食事からあまり摂取できないときは、サプリメントを利用する。
 (食物繊維+乳酸菌のサプリメントはこちらです。)



■ビタミンCの摂取

 ・ビタミンCを毎食後すぐに1000mg程度を摂取する。

 ビタミンCは、このくらいの量になると、良質なサプリメントを利用する以外方法はないと思われます。これで1日3000mgほど摂取できることになります。(お勧め製品はこちらです。)

 ビタミンCが充分にあれば、コレステロール値はある値を越えないようです。これは、コレステロール血中濃度はフィードバック的に制御されているようですので、これを運ぶための栄養素の条件を整える目的に働くためのです。



■抗酸化栄養素の摂取

 ・OPC(オリゴメリックプロアントシアニジン)を摂取する。

 ・色の濃い野菜(黒豆、黒ごま、トマト、ナス、ブルーベリー、緑黄色野菜、ひじき、などなど)

 ・抗酸化ビタミンのA・C・Eも充分に摂取する。



■注意事項

 ・肉の脂身(飽和脂肪酸)はあまり食べすぎない。

   ただし、肉の赤身はタンパク質、鉄分、亜鉛、ビタミンB郡などが豊富なため、敬遠するよりは食べたほうが良いです。



■■HDLが少ないとき■■

 ・ビタミンCを毎食後1000mg程度づつ摂取する。

 ・レバーや納豆に多く含まれる、パントテン酸を摂取する。

 ・糖尿病でなければ、ナイアシンを多く摂取する。ナイアシンはビタミンB郡などの助けを得て体内でも合成されます。ナイアシンはかつおに特に多く含まれます。

  はっきりした効果を得ようとする場合、かなり多くのナイアシン(2000〜3000mg)が必要になりますので、知識のある医師の管理のもとに実施する必要があります。皮膚の紅潮、かゆみ、胃の不快感、糖質の処理能力を妨げることがあります。

 ・青魚(EPA、DHA)を摂取する。

 ・シソ油(α-リノレン酸)を摂取する。(食物油についてはこちらをご参照ください。)


■高コレステロール、高脂血症に対してサプリメント(栄養補助食品)を利用される場合は、こちらを推薦致します。


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